ネットワークスペシャリスト試験に諦めず挑戦し合格できた勉強法


ネットワークスペシャリスト サーバ/インフラを支える技術

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H28 秋期のネットワークスペシャリスト試験に合格しました。

システムエンジニアだった筆者はインフラエンジニアに比べて経験が少なく、ネットワークに苦手な意識があったこともあり喜びも大きいです。

ネットワークエンジニアはもちろん、アプリケーションエンジニアやシステムエンジニアでもネットワークスペシャリストとしての知識を証明できれば付加価値が生まれやすい資格です。

3 回にわたる挑戦でしたが、これから試験を受ける方のためにその中でも特に効果があったと思う勉強法をご紹介します。

ネットワークスペシャリスト試験の勉強方法

結論としては 3 回の受験でとくに効果があった勉強方法は以下のとおりです。

  • 過去問を解いた
  • ブログを構築・運用した
  • WireShark でパケットキャプチャを取ってパケット解析してみた
  • AWS で仮想ネットワークを構築してみた

それぞれ実際の体験をもとに、参考書とともにくわしくご説明していきます。

ネットワークスペシャリスト試験について

まずは試験の概要について簡単に記載します。すでにご存じの方はスクロールを進めてください。

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が主催する情報処理技術者試験のうちの一つで、試験制度のスキルレベル4に該当する国家試験です。

ネットワークにおける専門性を有することを問われます。

IPAの公式サイトには、対象者像が以下のように定義されています。

高度IT人材として確立した専門分野をもち、ネットワークに関係する固有技術を活用し、最適な情報システム基盤の企画・要件定義・開発・運用・保守において中心的な役割を果たすとともに、固有技術の専門家として、情報システムの企画・要件定義・開発・運用・保守への技術支援を行う者

他の高度試験の区分と同じく午前I、II、午後I、II の試験があり、すべての区分で 60 点以上を取得すると合格です。

試験の結果

  • 午前I:免除
  • 午前II:76点
  • 午後I:60点 ← ギリギリ
  • 午後II:65点

IPA 公式サイトの合格発表です。午後 I は本当に合格点ギリギリでした。

午後試験は自己採点がしづらいこともあり、合格発表までは正直なところ不合格の可能性のほうが高いと思っていました。

H28 ネットワークスペシャリスト試験 点数

合格発表の後日に郵送されてきた合格証書です。

H28 ネットワークスペシャリスト試験 合格証書

受験前の私について

地方の中小 SIer(システムインテグレーター)に 7 年勤務した後に転職し、東京の外資系 IT 企業で技術サポートエンジニアとして働き始めて 5 か月目の状況でした。

関連記事:地方の中小SIerを退職し、東京の外資系IT企業に転職します

どちらの会社でもいわゆるネットワークエンジニア・サーバーエンジニア的な仕事はしたことがなく、これまでの業務経験としては開発や運用保守、サポートなどがメインでした。

ちなみにネットワークスペシャリスト試験は 3 回目の受験で、1 回目、2 回目はともに午後 I が 50 点台で不合格でした。

以下はネットワークスペシャリスト試験に合格するまでに受けた試験です。

  • H21秋 基本情報技術者 合格
  • H22春 応用情報技術者 不合格
  • H22秋 応用情報技術者 合格
  • H23春 情報セキュリティスペシャリスト 不合格
  • H23秋 情報セキュリティスペシャリスト 不合格
  • H24春 情報セキュリティスペシャリスト 合格
  • H24秋 ネットワークスペシャリスト 不合格
  • H25春 データベーススペシャリスト 合格
  • H25秋 システムアーキテクト 不合格
  • H26春 プロジェクトマネージャ 不合格
  • H26秋 ネットワークスペシャリスト 不合格
  • H27春 プロジェクトマネージャ 不合格
  • H27秋 受験しませんでした
  • H28春 情報セキュリティマネジメント 合格
  • H28秋 ネットワークスペシャリスト 合格 ← 本エントリはこちら

ネットワークスペシャリスト試験のために買った参考書など

試験対策用

試験対策として 1 回目の受験の前には「ネスペ」シリーズを 3 年分購入しました。

過去問を解説している問題集としては群を抜いている内容だと思います。筆者の方の試験に対する考え方や、ネットワークエンジニアのあり方を考えたコラムも面白いです。

ネットワークエンジニアとしての業務経験の無さを少しでもカバーするため「インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク・デザインパターン」も購入しました。

Trust・Untrustゾーンに分けた構成や DMZ ありなしの構成が多数記載されており、障害が発生したときにどのようにフェイルオーバーするか等も図解されています。

全部を覚えるのは無理ですが、午後 I ・II試験の構成の予習・想定に役立ちました。

試験対策以外

マスタリングTCP/IP 入門編」は新卒で会社に入ったあと、特に試験のためではなく勉強用に購入しましたが、ネットワークやプロトコル全般の基礎知識を学ぶのに役立ちました。

実務経験がないとイメージしづらい内容ですが、何回か読むことで理解が深まる本です。私が購入した当時は第4版でしたが最新版は第5版となっています。

竹下隆史 (著), 村山公保 (著), 荒井透 (著), 苅田幸雄 (著)

サーバ/インフラを支える技術」は 2 回目の受験の後に購入しました。

Webサービスで有名な「はてな」や、ゲームアプリで有名な「KLab」などの会社で実際のサービスを 24 時間ダウンさせずに運営するための冗長化/分散方式が解説されており、試験でよくみる DNS ラウンドロビンなども出てきます。

ネットワークの話題からは少し逸れますが、4 章でロードアベレージの計算処理を確認するために Linux カーネルのコードを実際に見てみるといった箇所があります。

処理の本質を理解するためにソースコードまで見てみる発想はちょっとした学びでした。

ネットワークスペシャリスト試験の勉強方法の詳細

3 回にわたる受験の中で、効果があったと思う勉強法は以下のとおりです。

過去問を解いた

情報処理技術者試験対策としては王道中の王道ですね。午前試験と午後試験の両方において、過去問を解くのは試験の雰囲気や時間配分をつかむのに有効です。

過去問を解くのは以下の流れで行いました。

  • IPA の公式サイトから過去問をダウンロードして印刷
  • まずは過去問をひととおり解く
  • 前述のネスペシリーズでの解説を読む
  • それでもわからないところは書籍やネットで調べる

最初にまず参考書を全部読んでみる方法もありますが、過去問で自分がどれだけ分かるのか・分からないのかを試したうえで参考書を読むほうが効率が良いです。

参考書を全部読み切ってから過去問をやろうとすると、時間がかかりすぎて途中で挫折する可能性が高いためです。

ただネットワークの実務経験が少ない私にとってはネットワークスペシャリスト試験は過去問だけでは突破が難しい試験でした。

このため、次に出てくる実践する形式での学習も行うことでより効果が出たと感じています。

ブログを構築・運用した

当サイトはさくらの VPS 上で稼働しており、ウェブサーバの nginx やデータベースの MySQL のインストールからチューニング等すべて自前で行っています。

関連記事:さくらのレンタルサーバ(スタンダード)からさくらのVPS(1G)へ引っ越した理由とメリット・デメリット

サーバーエンジニアとしての業務経験ほどではないものの、実際に手を動かしてサイトの裏側の仕組みを構築することは良い経験だったと感じています。

WireShark でパケットキャプチャを取ってパケット解析してみた

WireShark というソフトウェアを使って、実際にパケットがどのように流れているのかを調べてみました。

HTTPS 通信の際のハンドシェイクでClientHelloのあとに怒涛の ServerHello,ServerCertificate,ServerKeyExchange等が送信されることや、FTP 通信の際に本当にパスワードが平文で見えることなどは、実際のパケットを見てみると理解が進みました。

知人のネットワークエンジニアにも聞いてみたところ、ネットワークが遅い・切れる・アプリケーションで謎のエラーが出るといったときにtcpdumpでパケットキャプチャして WireShark 等で解析するのはごく普通に行われることのようです。

ちなみにその知人エンジニアは WireShark など使わず全部コマンドでやるそうです。

AWS で仮想ネットワークを構築してみた

ネットワークを構築したいと考えても、個人の自宅では場所やお金などの事情により難しいものがあります。それを解決してくれる一つの方法がクラウドです。

AWS(Amazon Web Services)等のクラウドサービスでは仮想ネットワークを構築することができ、例として192.168.0.0/16などの IP アドレス範囲でパブリックサブネット・プライベートサブネットに分離した仮想ネットワークを実際に構築してみることができます。

2 回目の受験ぐらいでこれをやってみるまでは正直「/24」などのサブネットマスク計算すらなかなかイメージが沸きづらかったのですが、実際に仮想ネットワークを作ってみることでサブネットマスク計算やルートテーブルの設定などが強烈に記憶に残ります。

業務でネットワーク構築を経験していない私には特に効果があったと感じた勉強法でした。

ネットワークスペシャリスト試験の受験当日

午前I

免除でした

午前II

結果としては 76 点と微妙な点数でしたが、過去問で見たことのある問題も多く 60 点はとれただろうという手ごたえがありました。

午後I

問1 、問3 を選択しました(どちらもメール関連の問題)。問1 は構成に関するところはなんとか回答できましたが、サブミッションポート(587番ポート)や MAIL FROM コマンドなど固有名詞が出てきませんでした。

問3 も同様に構成から回答できるところは埋められましたが、メール転送の負荷の偏りが発生しやすい理由として DNS キャッシュが想定できなかったりと、手ごたえとしては半分~よくて6割といったところでした。

午後II

WebRTC や IP-PBX というほぼ初見・馴染みのない題材でしたが問1を選択しました。

手ごたえはあまりなかったものの、知識として知っていないと回答できない類の問題がほとんどなく、問題文や図から答えが導ける問題が多かったように思います。

おわりに

3 回のネットワークスペシャリスト試験で効果があったと思う勉強法をまとめます。

  • 過去問を解いた
  • ブログを構築・運用した
  • WireShark でパケットキャプチャを取ってパケット解析してみた
  • AWS で仮想ネットワークを構築してみた

知識レベルとしてはまだまだだと感じているため、引き続きネットワーク関連の学習や実践は継続が必要ですが試験の合格で少しは自信がつきました。

システムエンジニアやアプリケーションエンジニアでネットワークがわかっていると、エンジニアとしての市場価値の向上にもつながります。

ネットワークスペシャリスト試験の合格を目指す方に、少しでも参考になれば嬉しいです。

竹下隆史 (著), 村山公保 (著), 荒井透 (著), 苅田幸雄 (著)

情報処理技術者試験を受け続けた体験からの勉強法は以下の記事にまとめました。

エンジニアとしての市場価値がわかっていないと、年収アップのチャンスを逃すことになるかもしれません。市場価値を簡単に調べる方法は以下の記事もご覧ください。