さくらのレンタルサーバ(スタンダード)からさくらのVPS(1G)へ引っ越した理由とメリット・デメリット

さくらのVPS

※当ブログではアフィリエイト広告を利用しています。

さくらのレンタルサーバ(スタンダード)の年間契約更新時期が近づいてきたこともあり、当ブログは以前から検討していたさくらのVPS(1G)にお引っ越ししました。

移転した理由と、さくらのレンタルサーバからさくらのVPSに引っ越したことによるメリット・デメリットをご紹介します。

移転前後の環境

今回さくらのレンタルサーバからさくらのVPSに引っ越したことにより、サーバー環境および費用は以下のように変わりました。さくらのVPSのソフトウェア・バージョンは自分でインストールしたものです。

さくらのレンタルサーバ スタンダード さくらのVPS(1G)
月額費用
(年間一括払い)
429円 924円
ディスク容量 100GB 100GB
データ転送量 80GB/日 無制限
ウェブサーバ Apache/2.2.25 nginx/1.6.1
PHP 5.4.29 5.5.15
MySQL 5.5 5.5.39

さくらのVPSに移転した理由

移転した理由は大きく以下の3つです。

サーバソフトウェア「nginx(えんじんえっくす)」を使いたかったから

さくらのVPSではroot権限が与えられるため、サーバにはソフトウェアを自由にインストールすることができます。さくらのレンタルサーバのサーバソフトウェアはapacheですが、リバースプロキシキャッシュが使える「nginx」を使ってみたかったのが一つの理由です。

理由は後述しますが、これについては変更して本当によかったと思いました。

さくらのレンタルサーバではmod_deflateが使えないから

さくらのレンタルサーバではapacheのモジュールであるmod_deflateを使ったコンテンツのgzip圧縮を使うことができません。管理画面のphp.iniの設定より、以下のような記述をすればgzip圧縮を使うことは可能なのですが、PHPを介しての出力にしかgzip圧縮が適用されません。

zlib.output_compression=on
zlib.output_compression_level=2

CSSやJavaScriptなどのファイルにもgzip圧縮を適用し、ページの読み込み速度を上げたかったのが二つ目の理由です。

AWSよりも安価で転送量課金がないから

自分でサーバを管理することになるのでAWSのAmazon EC2にするかも悩んだのですが、最も安いEC2インスタンス(t2.micro)でもさくらのVPSと比べると月額費用が二倍以上になってしまいます。

さらにAWSではディスク容量をEBS(ブロックストレージ)で確保する必要があり別料金がかかります。また転送量(Out)も従量課金で、大体1GB/日ぐらいのトラフィックがある当サイトではなかなかの負担になってしまいます。

ほぼ同条件でのさくらのVPSとAmazon EC2(t2.micro)の一ヶ月の価格・機能比較は以下のとおりです。AWSが高く見えますが厳密にはリザーブドインスタンスを購入したり、EBSも最初は少ない容量にしておけばコストは削減可能なので、あくまで参考程度の比較です。

さくらのVPS(1G) Amazon EC2(t2.micro)
リージョン 石狩 / 東京 / 大阪 東京
月額費用(毎月払い) 1,008円 $28.47(約2,914円)
【内訳】
EC2 $14.64
ディスク容量 $8(100GB/月)
転送量 $5.83(30GB/月)
仮想CPUコア数 2 1(バーストあり)
メモリ 1G 1G
ディスク容量課金 なし あり
転送量課金 なし あり

AWSではWordPress+nginx用にチューニング済みのAMI(マシンイメージ)である網元やAuto Scalingなどの独自機能を使えるのは魅力ですが、個人サイトでは不要と判断したためさくらのVPSを選択しました。

さくらのVPSに移転したことによるメリット

ページの表示速度が圧倒的に速くなった

nginxでは一度表示したページをリバースプロキシに一定時間キャッシュする設定が可能で、キャッシュされたコンテンツはPHPの処理を待たずに静的HTMLのように表示できます。

以下はさくらのレンタルサーバ(apache)で当サイトのトップページを表示した時のネットワークタイムラインです。WordPressのPHPでのページ生成処理を待っているため、Waitingが501 msとなっています。
さくらのレンタルサーバ ネットワークタイムライン
それに対してさくらのVPS(nginx)でリバースプロキシキャッシュがある時にトップページを表示した時のネットワークタイムラインが以下です。PHPの処理を実施せずにキャッシュからページを表示しているため、Waitingが24 msにまで縮まっています。
さくらのVPS(nginx) ネットワークタイムライン

キャッシュされたページについては待ち時間が少なくなるため、体感・実測ともにページ表示速度が大幅に向上しました。ウェブサイトのスピードやパフォーマンスを計測するサイト「GTmetrix」のスコアも以下のように上がっています。

さくらのレンタルサーバ(apache) ページ表示 2.24s
GTmetrix さくらのレンタルサーバ
さくらのVPS(nginx)でリバースプロキシキャッシュがある時 ページ表示 0.93s
GTmetrix さくらのVPS(nginx)

gzip圧縮が*.css*.jsファイルにも効いているため、ページ全体の容量も約30 KBほど削減されています。

各種サーバ設定をひと通り覚えることができた

Webサーバ、PHP、MySQLなどを全て自分でインストール・設定しなければならないため、今までレンタルサーバやPaaSで何気なく使っていたものについて理解を深めることが出来ました。またroot権限のあるサーバーを外部から守るためのセキュリティ周りについても勉強になりました。

各種設定については他サイト様の記事を大いに参考にさせて頂きました。別のエントリに記載予定です。

さくらのVPSに移転したことによるデメリット

サーバ管理が全て自分の責任になった

自由度は高くなりましたが、もし外部から攻撃されたりサーバが落ちてしまったりしたら自分で対応しなければなりません。しかし基本的なセキュリティ設定については実施したため、それ以上のことは運用も勉強のうちと思って管理していきたいと思います。

おわりに

今まではアプリケーション部分のみしかさわることができませんでしたが、さくらのVPSに移転することで責任と引き換えに自由度が大幅に上がりました。

セキュリティや死活監視などは気にかけなければなりませんが自分のウェブサイトにより愛着が湧いたように思います。月額費用も924円とリーズナブルなので、サーバー移転先に迷っている方にはおすすめしたいサービスです。