【恐ろしい心理的メカニズム】「影響力の武器」の感想と、3つの学び


影響力の武器

※当ブログではアフィリエイト広告を利用しています。

以前から読みたいと思っていた「影響力の武器」を読了しました。

400 ページ以上もあり「辞書かよ!」と思うぐらいの分厚さでしたが、感想を書かずにはいられない内容でした。

この記事は以下のような経験がある方向けです。

  • 出身地が同じ人、名字や名前が同じ人に親近感をおぼえる
  • 限定品、タイムセール品、90%オフの商品を見ると欲しくなる
  • 飛行機を降りた後、なんとなく前の人に付いていったことがある

あなたが知らず知らずのうちに何に影響されているか知るために、参考になるはずです。

「影響力の武器」を読もうと思った理由

以下の3つの理由から、「影響力の武器」を手に取って読もうと思いました。

  • どんなときに心理的メカニズムが発動するのか、具体例を知りたい
  • 心理テクニックの防衛法を知りたい
  • 本の帯(おび)に書いてあることの理由を知りたい

サブタイトルは「なぜ、人は動かされるのか」です。本書の内容はこれに尽きます。

本書の帯(おび)には、「あなたは経験ないだろうか」という文章とともに以下の例が書かれています。

  • 品薄な商品ほど、なぜか欲しくなる
  • 上司のミスに気付いたのに指摘できなかった
  • お笑い番組は笑い声が入った方が面白い

たしかに経験があることばかりです。本書を読むことでその理由がわかりました。

ちなみに「影響力の武器」は本書のほか、より詳しい具体例の「実践編」や、最新の事例を載せた「戦略編」があります。

本書「影響力の武器」があまりに納得できる内容だったため、以下のようにシリーズをすべて揃えてしまいました。

影響力の武器 シリーズ

10年前に読んでいたら人生がよりラクになっていたかもしれません。

「影響力の武器」の著者と概要

影響力の武器の著者はロバート・B・チャルディーニ氏です。

著者はアメリカのアリゾナ州立大学の心理学部における名誉教授で、米国を代表する心理学者の一人です。

本書の主な概要は、以下の 6 つの心理的メカニズムの解説です。

  • 返報性の原理
  • コミットメントと一貫性
  • 社会的証明の原理
  • 権威
  • 好意
  • 希少性

全 8 章で構成されており 400 ページを超える大ボリュームですが、各章のおわりに以下のコンテンツがあります。

  • 章の要点のまとめ
  • 心理テクニックへの防衛法
  • 設問(内容の理解度のチェック・自分ならどうするかのクイズ)

「影響力の武器」というタイトルですが、知らず知らずのうちに影響を受けないための「防具」や「盾」としての効果も大きい本でした。

続いて本書を読んだ感想です。

「影響力の武器」で共感した・ためになった3点の感想

中でも特に共感した・ためになった部分 3 点の感想です。

知らないことは恐ろしい

最もためになったのは「知らないことは恐ろしい」ことを再認識できたことです。

なぜなら本書で紹介されているような心理的メカニズムを知らないと、もしも悪意をもって使われた場合に気づくことすらできないからです。

たとえば本書では 1 章で、「図書館のコピー機を先に使わせてほしい」という実験が紹介されます。

これは心理学者のエレン・ランガーが行った実験で、頼みごとの仕方と成功率に以下の関係がありました。

  • 5枚だけなのですが、先にコピーを取らせてくれませんか(60%)
  • 5枚だけなのですが、先にコピーを取らせてくれませんか。急いでいるので(94%)
  • 5枚だけなのですが、先にコピーを取らせてくれませんか。コピーを取らなければならないので(93%)

ここで2つ目と3つ目は、「簡単なお願いでは理由があると承諾率が上がる」という「人間の自動的反応」の例として紹介されています。

3つ目のお願いはよく見ると理由になっていませんが、「~ので」という言葉に反応してしまうことが「自動的反応」にあたります。

本書で解説される 6 つの心理的メカニズムも「人間の習性」や「自動的行動パターン」に関係するもので、知らなければテクニックを使われていることすら気づけません。

それは以下の部分でも強く警告されています。

自動的行動パターンについては、絶対に押さえておくべきポイントが存在します。
それは、このパターンの機能を熟知する者に対して、私たちは恐ろしいほど無防備になるということです。

本書の心理的メカニズムは、実際に頭のいい人たちによって以下のものに頻繁に使われています。

  • テレビのCM
  • 訪問セールス
  • ネットの広告

もちろん世の中のすべてを疑ってかかるのはやりすぎですが、心理的メカニズムと防衛法を知っておくに越したことはないと思いました。

一見すると意味がなさそうな要求の狙いに気づける

一見すると意味がなさそうな要求の狙いに気づくことができるようになりました。

たとえば私は今まで楽天市場の「エントリー」という行為を、わざわざさせる理由は何だろう・・と思っていました。

「エントリー」とは、以下の日に楽天市場に現れるボタンをクリック・タップしてキャンペーンに参加すると、買い物で付くポイントが増えるというものです。

  • 5 と 0 の付く日
  • 東北楽天ゴールデンイーグルスが野球で勝った次の日
  • お買い物マラソンの期間中

しかし本書を読んで、この「エントリー」によるクリックやタップは「コミットメントと一貫性」を利用し、以下の効果を狙っているのでは・・と想像が付くようになりました。

  • まずは「買い物」の前段階でクリックやタップをさせる
  • より大きな要求である「買い物」のとき、クリックやタップの心理的なハードルを下げる

「コミットメントと一貫性」は以下のとおり、一度自分が決めたことをやり通そうと一貫性を持つという心理的メカニズムです。

ひとたび決定を下したり、ある立場を取る(コミットする)と、自分の打ちからも外からも、そのコミットメントと一貫した行動をとるように圧力がかかります。

本書ではこの「コミットメントと一貫性」を使った「フット・イン・ザ・ドア」というテクニックが紹介されています。

「フット・イン・ザ・ドア」の仕組みは以下です。

  • 最初に小さな要求を飲ませる
  • 次はもっと大きな要求を通しやすくなる

先の楽天市場における「エントリー」にも当てはまっていないでしょうか。

もちろん私たちに要求・依頼してくる人すべてが、狙って心理的なテクニックを使っているとは限りません。

しかし本書の心理的メカニズムは、何かを要求をされたときに「これは何を意図しているのだろう」と考えるきっかけを与えてくれます。

本の要約をネットで見るより、実際に読むことの大事さ

影響力の武器は人気のある本で、ネットを探せば要約しているサイトや動画はいくつも見つかります。

しかし要約だけに頼らず、本を実際に読むことの大事さを感じました。

なぜなら自分にとって大事な部分が、要約では抜け落ちている可能性があるためです。

たとえば本書では心理的メカニズムの解説部分のほか、以下のコンテンツがあります。

  • 読者からのレポート(実例)
  • 防衛法
  • 設問(内容の理解度のチェック・自分ならどうするかのクイズ)

読者からのレポートを見ることで、日常のどんな場面に心理的メカニズムが出てくるのかがわかります。

また設問を「自分で考えてみる」ことで、アウトプットして知識の定着を図ることもできます。

たとえば私は本を読む途中で、自分の過去の経験で本書の心理的メカニズムに当てはまりそうなものをツイートしたりしていました。

ただしネットで見られる要約をすべて否定しているわけではありません。

本の全体像をまず頭に入れるために要約を使えば、実際に本を読むとき「少しは頭に入っている」状態になるため読み進めやすくなります。

とくに影響力の武器はかなり分厚い本なので、モチベーションを保つためにメモやツイートでアウトプットしながらの読書が効果的でした。

おわりに:10年早く読みたかった

「影響力の武器」で共感した・ためになった3点をまとめます。

  • 知らないことは恐ろしい
  • 一見すると意味がなさそうな要求の狙いに気づける
  • 本の要約をネットで見るより、実際に読むことの大事さ

本記事で紹介したのはごく一部で、中には心理的メカニズムを使ったもっとエグい例も出てきます。

400ページ以上あるためすべてを要約することは難しく、人によって重要だと思うところも違ってくる本です。

自分自身や、まわりの家族や友人を知識で守りたい方は手に取って損はありません。